脳梗塞やらかしました

それは7/1の朝6時半ごろに入浴中のこと。

シャンプーをシャワーで洗い流し、水シャワーで体の火照りを鎮めているとなんとなくシャワーヘッドが重たく感じはじめました。
なんだろう?と思っているうち、普通に力を入れているつもりの右手からするりと滑り落ちるシャワーヘッド。

あっこれヤバいやつ。

ともかく浴室を出よう。
立ち上がろうとしても右膝が立たない。
そのまま椅子から転げ落ち右肩を床に打ち付けました。

脳梗塞だ。
もうここで気づきました。
見るとはなしにでも見とくもんですね健康バラエティ。
以前受けた健康診断でも高血圧と高コレステロールに気をつけろと釘を刺され、メタボ講習を受けろと市からも通知が来てたのに。

よし落ち着け。なっちゃったものはしょうがない。救急車呼ぼう。動けるうちにせめて浴室のドアを開け



ドアノブが遠い。


まだかろうじて右上腕は動くけれど肘から先が全く思い通りにならない。
あと5センチがとてつもなく遠い。
届いたつもりが届いていない。
そのうち肩にも力が入らなくなり、右手がボトリと音を立てて落ちる。

バスタブのへりを手がかりに体を起こすこともできないとなったところで自力脱出は諦め、出せるかぎりの声で浴室から妻に助けを求めました。
うちは夫婦とも起きたい時に起き寝たい時に寝るような不規則極まりない生活で、どっちかが起きてきたら入れ替わりで寝るなんてこともしょっちゅうでした。でもこの時は二人とも起きてた。

叫び声を聞きつけた妻が押っ取り刀で浴室へ。「どうしたー?」
「やばい右側が動かん!」みたいなことを言ったような言わなかったような。

妻が119通報しているあいだ自分はできるだけリラックスした体勢を取るのにつとめながら自己診断モードに。

右腕…肩から全部痺れてる。握り込む指令はたしかに出ている感触があるのに指は全く動く様子がない(というか自分の体の影になって見えない)。

右脚…太腿から全部痺れてる。腕と同じく、腿を上げたり膝を曲げる指令は出ている感触があるのにピクリとも動かない。

意識…クリア。

声を出す。
言語中枢がやられた場合には自分が思っていることと全く違う言葉が勝手に出るらしいがその様子はない。
舌に異常はないが唇の右半分も痺れているため呂律は回っていない。

このへんで自分の呼吸がとても荒く浅いことに気づく。
たぶん横隔膜の右半分も麻痺して酸欠気味なんだろう。

救急車を呼び終えて妻の実家に連絡を取っているらしい話し声が聞こえる。聴覚は左右とも正常。視覚も問題なし。

通報から10分弱で救急車のサイレンが聞こえてきました。
初めて救急車の厄介になってみてわかったけど、自分を運びに駆けつけた救急車のサイレンってものすごく頼もしい。
そして救急車到着までに自分の保険証や財布、スマホなど必要最低限の持ち物をスタンバイしてくれてた妻マジよくやった。

真っ裸の体にせめてバスタオルを乗せた状態で救急隊の声かけに応じる。
後から聞かされた話ですが搬送中はずっと「顔の右半分が動いてなかった」らしいです。
ストレッチャーに載せられ救急車へ。
「顔が赤いですね」あ、それはアトピーです…。

受け入れ先の病院選定の連絡中から生あくびが止まらなくなる。
いよいよ酸欠で脳が悲鳴を上げはじめたらしい。
これ今このあくびに身を委ねて目を閉じたら

…死ぬんじゃ?
ここで初めて死を意識しました。

いやいやいやいやいや死んでる場合か。
まだシンエヴァ本編どころか6日に公開予定のアバンすら見てねえんだぞ。
死んでたまるか。

病院めざして走行中も必死で意識をつなぎ止めようと内装や装備品のディテールを目で追いかけました。
いつかアシスタントで救急車の中を描くことになったときのために…
…右腕動かないのに?

10分ほどで病院に到着。ストレッチャーからベッドへ移され、真っ裸バスタオルいっちょのおじさんは患者衣とおむつを着けられながら軽い診察を受ける。
「右手は動きますか」全力で握るがびくともしない。
「右脚は動きますか」全力で腿を上げるが微動だにしない。
「この指は何本に見えますか」。そっちは大丈夫。
「倒れられたのお風呂場だそうですが入浴はいつもこの時間ですか」バランバランです。

そしてCTへ。
たぶんこの時点で血栓溶解剤を点滴投与されてたんだと思うけど記憶が錯綜してます。
CTの次はMRI。
あくびが止まらない。
寝たくない。死にたくない。
いつになるのかわかんないけどゼルダ続編だってあるんだ。死んでたまるか。
なのにあの寝てくださいといわんばかりのノイズの嵐の中へ放り込まれるのか…出てきたあと意識あるといいな…同人誌ぐらいは描けるかもしれないけどアシスタントは廃業かな…どうやって食っていこう…。

15分ほどが経過しMRI撮影終了。「はい終わりました」の声で我に返ったのでたぶん一瞬寝てたんだろう。やれやれ終わった、と何気なく両手を開いたり閉じたり

えっ動く?

そういえば文字通り頭のてっぺんから爪先まで右半身を被っていたあの痺れがない。
付き添いの看護師に「動きます!」と両手両脚をぱたぱたさせてみせると
「おーよかったですね!今日はすごいなー、さっきの人もそんな感じでしたよ」
さっきも脳梗塞患者担ぎ込まれたのか。

処置室に通された妻にも回復っぷりをアピールしながら主治医の説明を受けました。
診断はアテローム血栓性脳梗塞。いわゆる動脈硬化(アテローム)によって狭くなった血管に血栓が詰まったことによる症状です。
おのれ悪玉コレステロール。
「さいわい回復してらっしゃいますがCT/MRIでは梗塞がはっきりと映っており、またこのタイプの脳梗塞はいったん症状が治まったあとでも進行・悪化の可能性があるため、さしあたり点滴と投薬を続けながら5日間入院して様子を診たうえで進行のおそれがなければ退院いただきその後は投薬治療、進行してしまった場合はリハビリ施設へ転院してもらいます。その際は法律で最大6ヶ月間のリハビリを受けられます」

そのまま脳卒中センターのある病棟に入院となりました。
着替えなど身の回りを整えてもらうため妻はひとり一旦帰宅。いやもう自分ひとりだったらどうなっていたことやら。思い返しても本当に世話になりました。

それからの一週間はひたすら退屈との戦いでした。いや退屈がれるほど元気なのに越したことはないよ?
入院初日の昼食後に勢い余ってiPadから配信版スパイダーバースを購入。
配信版発売日に「BD予約してるけど配信版も買おうかな…」と妻に話した時はお前はなにを言ってるんだみたいな顔されたけどまさかこんな口実ができるとは。
字幕・吹き替え併せて結局4回ぐらい見たよね。
このDLやシンエヴァ生配信なんかもあって入院中スマホの通信容量は3回追加するハメに。

起きてまた手足が動かなくなってたら…と初日の夜はさすがに眠るのが少し怖かったです。

その不安を払拭すべく2日目からApple pencilで落書き開始。

まずはベッドまわりにある点滴の機械とか心電図の端末(このパッチが痒いわすぐ剥がれるわ剥がれたら夜中でも付け直しにくるわでやたら辛かった)、脈拍モニタとかをクロッキーして右手の動作と空間把握に異常がないか確認して…

退院後Twitterで生還報告する時のどんだけ大丈夫かアピール用にmediban paintとprocreateを行ったり来たりしながらそこそこ本気でなーちゃん描いたり。
描けば描けるだろうと楽観的に構えてはいたけどこの手の脳の疾患は思いもよらないところで認知に齟齬が出たりするケースもあると聞くし…と実際に描いてみるまではけっこう不安でした。
一般的に脳梗塞は発症から4時間半以内に血栓溶解剤を投与できるか否かが日常生活への復帰率に直結するそうで、発症後30分ほどで病院に到着できた自分の場合は相当ラッキーだったんだと思います。かえすがえすも無事でよかった。

…とまあそんなわけでとうとう三大疾病を抱えてしまった空条さん。胆石はこさえるわ脳味噌の血管は詰まらせるわまことに不健康もいいとこです。
妻が寝ていたら、外出していたら、逆に自分が外出先での発症だったら、そもそも結婚していなかったらどうなっていたかあんま考えたくない。
これ読んでる皆さんもマジで高血圧には注意してください。サイレントキラーの野郎ときたら伊達じゃねえ…頭ではなく心で理解したぜ。

せっかくスペース取れた夏コミも欠席することに決めました。
「行くなら付き添うよ」とは妻も言ってくれてるんだけど、いざ何かあった時にスタッフに迷惑かけるのはしのびないし、普段から自己管理できないやつはコミケ来てくれるなとか息巻いてる本人が一つ間違えたら死ぬ爆弾かかえたてのほやほやで行くわけにいかない。
冬コミにはサークル参加できるよう頑張って血圧下げます。なにはともあれ運動だな…。

藍子貼るタイミング逃しちゃったじゃん!

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