カテゴリ:WF20とワンフェス☆ニジュウ, フィギュアとか

WF☆20に行ってきた・その5『ガレージキットとは何か』"|Syndicate this site(XML)|WHF名古屋6ルポ"

WF☆20に行ってきた・その6『浅井みたいなチンピラが』

※手元のメモを見つつ思い出しながら書いているので、随時修正or追記が入ります。悪しからず。誤記に関してご指摘いただいた読者の方、ありがとうございます。

『リセット』前後、前述の「エヴァバブル」がひとまずの終息を見た頃にガレージキットシーンを「レジンキットやばいんちゃう?」という空気が包んだと浅井氏は当時を振り返る。
チョコエッグなど食玩、またアクションフィギュアに端を発した組み立て済みフィギュア市場の台頭である。
中国生産ラインの技術向上によってガレージキットとクオリティ的に遜色ない完成品が、しかも絶対的な安価でマスプロ流通を始めたことで確かに一般に対するフィギュアやガレージキットの認知度は上がったが、それは所詮は業界の上澄みを掬い取って消費されるだけに過ぎず、逆にガレージキットの需要を食い潰し業界の縮小を招くだけなのでは…といった危惧。この危惧が現実なのか杞憂なのかは未だもって答えは出ていないが、時代の変化に伴う不安がこの時期のWFを覆っていたことは間違いないだろう。

また『リスタート』後のWFをある意味で象徴するアイテムに『ワンダーショウケース(以下WSC)』がある。エヴァバブル以後もなお続く「アイテムセレクトが勝利」の潮流の中で顧みられることなく埋もれてしまいそうな新進かつ良質の造形を応援するとの旗印のもとにスタートしたこの企画。現在着々と増加しているオリジナル作品のディーラーが活動を続けていけるだけの下地作りにWSCが少なからず貢献していることは間違いないだろう。
しかし元々が「版権もののレプリカ」として発祥したガレージキットというジャンルにあって、これら「オリジナルのガレージキット」は果たしてガレージキットと呼べるのだろうかという疑問が、特に古参のディーラーの間で湧き上がるようになる。

こうした思いをよそに金谷氏は「ガレージキットと呼ばれることについての拘りというのはないです」と語る。
この言葉だけを抜き出すのは非常に危険だが、金谷氏にとっては「ピンキーストリート」という商品のカスタマイズ性・自由度の高さ(「ハンパにすることで広がりを持たせるのが狙い」とは金谷氏の弁)が、そのままガレージキットがこれまで歩んできた歴史と合致するものであるという考えの基に活動しているように感じた。与えられた造形をもとに「世界に一つだけの自分のフィギュアを完成させる」点において、ならば確かにピンキーもレジンキットも違いはないのかも知れない。

建築デザイン事務所在籍中、建築物ミニチュア作成で余ったエポパテを使って小さな人形を作っていたのが始まりという金谷氏はその頃の名残で今でも原型製作を基本的にデザインカッター1本で行っているそうだが、その理由というのが
「仕事場でいくつも道具使ってたら仕事してないのバレるじゃないですか。っていうかまあ全然仕事してなかったんですけど」
どの業界でも基本的に何かに対しての先鞭をつける人というのは得てして社会と適合しにくいものなのかも知れない、とか無理に理屈をつけてみたがどうか。どうかって言われても。

それはさておき。
浅井氏はこの完成品市場も含めガレージキット全体が未だに「非常に不安定な地盤の上に成り立っている」ものであること、またそれが「ソフトウェアの発達に頼りっきりでハードウェアの面がまったく進歩していない」現状によるところに非常な危機感を抱いていると言う。平たく言えば低賃金の大陸・東南アジアのマンパワーにのみ依存しシステム構築を怠っている現状に、である。

自らも完成品の製作に携わる浅井氏だが、初回版のレイキャシールについては実験的に中国のラインで複製を依頼したそうだ。結果的に仕上がった製品は「まあ使える。特に問題はない」レベルではあったが、この中国の工場というものが簡単に言えば「指示されたところは指示されたとおりにやるが、指示されていないところはすぐに手を抜く」傾向があり、誰かしらが常時付きっきりでクオリティマネージメントのために貼りつかなければならない。それでも今度はこのマネージメントを行う人間の目がフシアナなら元も子もないわけで、原型師として「まともな頭の持ち主なら不安でやってられない」レベルのものであったというのが正直な感想だったようだ。数字上でのコストパフォーマンスは確かに高いかも知れないがそれ以上に支払う品質面でのリスクが大きすぎるのである。ここについては金谷氏も大いに同意していた。
実際に昨年来の人民元切り上げや政情不安など外的なファクターがこの砂上の楼閣を揺るがせにしており、煽りを受けて中国から日本のラインに切り替えたせいで単価アップを余儀なくされた『WF2006冬』のWSCがいみじくもこれらの脆弱性を露呈した格好だ。

この業界全体の体質を生み出した一環として「未だにレジンから脱却できていない」点もあるようだ。

古い人――敢えてこう呼ばせていただく――がガレージキットとは何かを考える時にどうしても第一義として「レジンであること」を捨てられないのは、「いろんな素材を自分の手で試してきた結果として、原型師が思い描く造形のほぼ100%のレプリカを作り出せるマテリアルが他にないという結論に自力で辿り着き、その上で今もレジンに全幅の信頼を寄せているから」に尽きると思うのだ。多分新しくガレージキットを始めた人々の多くにはこうした実証的な裏付けなどなく「先人がレジンを使っているからガレージキットを作るならレジンでなきゃいけないんだな」程度にしか認識されていないだろう。きっと何の疑問もなく大半は「ただそうしている」のではあるまいか。
それが良い悪いではなく、そうした経緯というかバックボーンを暗黙の了解としすぎたがために今日の手段と目的の転倒が起こっていて、またその事実に対してあまりに無自覚(或いは意図的に目を背け)すぎたことが業界全体を包む閉塞感、どん詰まり感を生み出した理由の一端である点だけは見過ごしてはならないと思うし、浅井氏が抱く危機感も結局はここらへんが出発点なのではと思う。

入場の際、来場者にはガイドブックと一緒にアンケート用紙が手渡され、その設問の一つにはこうあった。

あなたにとってガレージキットとはなんですか?

作る「活動」なのか、複製して売る「商行為」なのか、好きである「情熱」なのか。それともレジンという「素材」が、またはWFやWHFなど「場」が肝要なのか。ディーラー出展経験を持つ来場者の割合が多いこの『WF☆20』ならではのさまざまな回答が得られたようだが、結局のところ統一見解などと言ったものは出てこようはずもない。ただみんなで答えを持ち寄って、それを付き合わせた上でなんとなくの「近似値」を導き出すことも逆に危険である。

近年はblogなどWFを取り上げる媒体が爆発的に増加したこともあり、とりわけWFそのものの動員数が変化してきている。グッドスマイルカンパニーのイベント運営に携わる側として安藝氏は「ちょっと前までは昼を過ぎると一般もディーラーもガラガラだったのに、一昨年頃から閉会まで残る人が急に増えてきた」との感想を抱いたようだ。特にこれについては浅井氏も気付かなかった変化だという。
ディーラーとして一日中ブースに貼りついていることが多くなったため最近の動向の移り変わりに対して図らずも鈍感になってしまっていたのだろうが、こうしてさまざまな視点でのWF像を持ち寄ってみればみるほど如何にWFが多角化してきているかが浮き彫りになっていく。最前線で戦っているエースパイロットは勿論のこと、実は司令部の将軍だって戦況の全てを把握しているわけではないのだ。そんなものが何もかもつぶさに見えている者などきっとこの世には存在しない。ましてや従軍ジャーナリストが戦場を牛耳ることなど有り得ない。

脱線したが、『ガレージキットとは何か』というテーマ。おそらくは来場者の多くがこの疑問をそれぞれの家に持ち帰り、または帰り道で友達と議論してみたのではないだろうか。
ルーツに関わることであるから時にはこの定義をめぐって諍いにもなることもあるかも知れないが、そこにはやはり明確な解答などなく「関わった人の数だけの答え」があるに過ぎないのだろう。
ただ、出演者達の結びの言葉にあったこの部分だけは誰一人として違いはないはずだ。

それは『ワンダーフェスティバルに参加する人はみんな立体造形が好きでたまらないんだ』ということ。その情熱に突き動かされた人々が20年間もの長きに渡ってWFを支えてきたのであり、そしてこれから先を支える情熱の持ち主がロフトプラスワンに集い、語った。最後に並んだMAX氏と金谷氏の目が潤んで見えたのは光の具合ばかりが原因ではないだろう。
なんだか第3部の記事はパネラーの話題より自分の雑感ばかりになってしまったが、それだけ第3部は考えさせられる内容が詰め込まれた2時間だったと思ってもらいたいところ。



最後の挨拶が終わったところで暗転、突如会場に響き渡った音楽はスターウォーズ・帝国軍のテーマ。そしてスクリーンに映し出されたホテルの一室に座しているのは…









海洋堂専務取締役・宮脇修一氏。

場内大爆笑!そして大拍手!
どうやらこの数日前にようやくおさえることのできた映像らしいが…すげえ!オフィシャルじゃないけどちゃんと認められてるよこのイベント!!

実は専務の顔をちゃんと見たのはこの時が初めてだったんだが確かに悪人面っていうかアレだ、典型的な悪代官に賄賂を送る越後屋の顔だ。
でもその口から出てきた言葉は、

自分の不徳によって開催を中止せざるを得なくなったWF20周年記念イベントへの想い。
憧れだったSF大会、の言葉も改めて本人の口からのぼった。
そんな折に浅井氏から聞かされたWF☆20の企画。
「浅井みたいなチンピラがまたオレに噛みついてきやがるんかー、と」場内またしても大爆笑。
憎まれ口とは裏腹に、その顔は優しさに満ちていた。きっと心は「兄ちゃん」に戻って、「ハズレや!!」と笑い飛ばしたあの日の真紀少年の顔を思い出しているんだろう…そう思うとこちらの胸にもこみ上げるものがあった。
最後に浅井氏と寒河江氏あてに贈られたエール。VTRの終わり際には「悪の帝国」の首領を演じているつもりかイスにふんぞり返って見せる。ああ、この人なにもかも納得ずくでこのイベント認めてるよ…もうこの人のこと悪く言う気になれないよ…。

再びの大拍手とともに帝国からのメッセージビデオが終わり、WF閉会時にお馴染みのバグパイプによる『Amazing Grace』が流れて6時間の濃密なトークイベントは無事に終了した。
こうして振り返ってみると本当に凄まじい「アツさ」に包まれた空間だったのだと改めて感じる。だからそのアツさに当てられついでに誤解を恐れずに言いたい。

「ガレージキット業界がこれからどうなろうと知ったことじゃない。俺たちが作ってきた世界だ。俺たちの世代で滅ぶのも本望だ」と心から思っている人。それはそれで構わない。
ただそれならその姿勢について自ら語ることなど決してせず、口を噤んで死ぬまで手だけ動かし続けるのみにして欲しい。
逆にほんの少しでも明日のWFを思う人は妙な意地や体面などかなぐり捨て、たとえ1時間だけでもあの場の「アツさ」に触れるべきだったんじゃないかと思う。
もちろん本物のWF20のメインスタッフとして関わる予定だった方々(「あ」の人を含め)がスジを通すために欠席の道を選んだ事実も評価されて当然である。だからあの場にムッシュBOMEが来て、そして専務がビデオ出演したのはやっぱりものすごいことなのだ。この2人が存在したことでWF☆20は『欠席裁判』の誹りを受けることなく成立できたのだから。


さて。長丁場でお送りしてきたWF☆20ルポですが、実はまだちょっとだけ続くのじゃよ。なにせこの後の打ち上げと称したグダグダトークにも居残ってたもので。あと総括した所感やらなんやらも書きたいし。ってことでもうしばらくお付き合い下さいませヽ(`Д´)ノ

ちなみに第3部の最初にお土産抽選会が開かれました。浅井さん提供のレイキャシール&ヒューキャスト(※注:どちらも部品請求対応用として浅井さんが買い上げた正規品)、「限定品やから値打ちはあるかも知らんけど見本として1カートン送られてきてジャマでしょうがない」『トライガン』ヴァッシュのクリアーバージョン、寒河江さん提供の藤井隆フィギュア紅白出場バージョン(そういえばこれも寒河江さんだった…)ほか押し入れに貯め込んだブツ数点と、自身が塗装・完成させた『ガメラ3』綾奈(前田愛)のフィギュア、そして佐藤てんちょから第1部で紹介されたムッシュBOME作のDAICON?Vの女の子などが抽選で来場者にプレゼントされたんだが…

当たっちゃった。
ねんがんの BOMEキットを てにいれたぞ!
・そう かんけいないね
・ころしてでもうばいとる
・ゆずってくれ たのむ!


な なにをする きさまらー!!

カテゴリ:WF20とワンフェス☆ニジュウ, フィギュアとか