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WF☆20に行ってきた・その4『色は塗られてないんですか』"|Syndicate this site(XML)|WF☆20に行ってきた・その6『浅井みたいなチンピラが』"

WF☆20に行ってきた・その5『ガレージキットとは何か』

※手元のメモを見つつ思い出しながら書いているので、随時修正or追記が入ります。悪しからず。誤記に関してご指摘いただいた読者の方、ありがとうございます。

第3部冒頭のメッセージビデオに最初に現れたのはラーメンズ・片桐仁だった。
自身の作品を背後に「あこがれだったWFに遂に参加できました」と語る晴れやかな笑顔。会場で見かけたという話は聞いていたが、自分でディーラー出展してたとは。
この第3部は彼らの世代であるところのいわゆる『リセット後世代』視点のWFが一つのテーマである(ちなみにその他の出演者は第1部には来場してもいたらしいイラストレーター・開田裕治氏、玩具プロデューサー・安斎レオ氏、レプリカント『平八郎に聞け!』でお馴染み松本平八郎氏、カメラマン・伊奈浩太郎氏、怪獣造形師・品田冬樹氏、特撮研究家・聖咲奇氏)。

『リセット』とは通算30回目にあたる2000年夏開催のWF終了時に専務から為されたアナウンスのことである。このリセットの真相について「一番信憑性高いのはやっぱり会場押さえ忘れて苦し紛れに出任せ言うたと思ってるんですけど」と浅井氏は語るが、当時はモデルグラフィックス誌上での


写真の人物による「ヌルい」発言が発端となって非常に無駄で不毛な紛糾を見たようだ。
ギリギリ好意的に取れば確かに彼の発言によってガレージキットディーラー各人の中に問題意識というか自身を省みるきっかけを与えたかも知れない(単に海洋堂がアツさに麻痺してただけだと思うと寒河江氏もフォローする)が、それにしたって海洋堂の事実上のスポークスマンである彼の口から発せられるべき言葉としては甚だ不適当であるし、それをオフィシャルとして認めてしまう海洋堂広報部の体質も問われて当然だろう。
そもそもWFは「造形語る」場であり、「造形語る」場ではないはずなのだが…。

ともあれこの一連の発言によって「自分たちがWFを育ててきた」自負を持つ古くからのディーラーは急速にその熱を喪い、主催が物販だけ目的とするならとWFに対して一気にドライな関係――もっとも参加者と主催者が必要以上にウェットな関係性にあるのもそれはそれで不健全ではあるが、ウェットなイベントの代名詞的存在であるSF大会に当の専務が憧憬を抱いている以上はある意味そちらの方が望ましいのかも知れないとさえ考えてしまう――へと離れていく結果となった。

『リセット』以外にも現在のWFへの流れとして見過ごせないのが96年夏から始まる、いわゆる『エヴァバブル』である。
「エヴァならなんでも売れる」というより「エヴァでなければ売れない」現象、言ってみればこれがそのまま現在にも「アイテムセレクトが全てで造形を見てもらえない」構図、として連綿と続くジレンマの源流とも言える。もともとはマイナーなキャラなどを立体化して持ち寄る場だったはずのWFが、いつしかメジャー作品のメジャーキャラクターグッズ展示即売会に転じてしまっていたわけだ。
このバブル期を経たディーラー、特にフィギュア系ディーラーにとってWFで発表する造形物とは即ち『作家性は二の次、オフィシャルに似せることが第一義』との概念がインプリンティングされているといっても過言ではないだろう。事実ほんの数年前までオリジナルのフィギュアなどまるで見向きもされなかったのだから。

こうした経緯についての見解は実際にその場に身を置いたか否かによって当然ながら温度差が生じる。この温度差がそのまま「リセット前世代」と「リセット後世代」の微妙な温度差になっているのだろう。この『WF☆20』来場者のおよそ半数以上がディーラー参加経験を持っており、その中の更に過半数以上がここ5年以内にディーラー活動をスタートした「リセット後世代」である点に、彼ら自身の中にもこうしたジェネレーションギャップを埋めたい、せめて知識として頭に入れておきたいと積極的に願う人が如何に多いかをそのまま表しているように思うのだ。
残念ながら第2部の最後で帰阪したムッシュBOMEが去り際に残した、こうした新世代のディーラー達のために「自分たちがやるべきだったのにやってこなかったことを浅井くん達がやってくれたのがとても嬉しい」という言葉がとても重く感じた。

しかし浅井氏・寒河江氏も今やベテランの域、こうした新規層のディーラー・一般参加者の目で見たWFの姿がどういったものなのか図りかねても致し方ない。
そこで呼ばれたゲストが現在の完成品市場を一種象徴する存在である大ヒット商品『ピンキーストリート』で有名な金谷ゆうき氏。
ガレージキットと完成品の線引きが非常に曖昧模糊としてきた昨今だが、浅井氏は以前から親交のある金谷氏の活動が実は「非常にガレージキット的なモノ」で、そこには確かに「自分がやりたいことを全て盛り込む」という意志が存在し、その意志の前にはキットや完成品の別はないと語る。

では翻って『ガレージキットとは何か』。
これについて浅井氏と金谷氏は事あるごとに議論を戦わせてきたと言う。
第3部は幾分これまでと趣を異にし、これまで彼らが深夜に電話線を介して語り合ってきた内容の再現となる。
人生の半分をガレージキットと付き合ってきた男と完成品市場にガレージキットの方法論を持ち込んだ男の電話口の舌戦がロフトプラスワンを鳴動させる。

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